福井商業高校
「犬を蹴飛ばしたり、あるいは。」
 
<あらすじ紹介>
新聞記者東郷真一郎は消費税引き上げ法案を取材している過程で恐るべき事実を知ってしまった。政府の説明によれば、消費税は5%から8%に引き上げられ、その分の税収は年金医療介護などの社会保障費に当てられるとされている。しかし、その一方で来年度の自衛隊の軍事費は約3%増大し、およそ5兆円に達すること、たとえば墜落事故で悪名高い「オスプレイ」を日本にも導入するための調査費として1億円、「ステルス戦闘機」購入のために700億円、そして1両10億円の戦車を400両も購入することが決定されていること・・・本当に消費税は福祉に使われるのか。これだけのお金があれば、東日本震災の復興はもっと早まるのではないか。真一郎の心は怒りに燃えた。これを記事にしよう。記事にして、国民みんなに日本の未来を考えてもらおう。それが俺の記者としての使命なんだ!  しかし彼は、政府機関の「犬」たちが密かに迫りつつあるのを知らなかった・・・。
というような話ではありません。もちろん。
 
<学校紹介>
福井商業高校はこの世界の中心に立っている母なる木、ユグドラシルの下から三番目の枝をくりぬいて作られています。床も壁も木ですから、冬は暖かく夏は涼しく、私たちは快適に勉学に励んだり甲子園に出場したり簿記検定に立ち向かったりしています。ところが最近になって問題が起きました。木が枯れてきたのです。寿命なのか、環境汚染のせいなのかは分かりませんが、ユグドラシルが倒れるのはもはや間違いのないところだそうです。そうなると私たちは暮らしていけなくなります。それで思い出したのですが、昔読んだ本にこんなことが書いてありました。「深い森の奥で一本の木が音を立てて倒れた。そこには誰もいなかった。誰も聞いている者がいないとき、『音はあった』のだろうか」・・・私たちの木が倒れた時、私たちの教室が崩れさった時、そして私たちがみんな死んでしまった時、誰がそのことを知るのでしょうか。私たちはそれでも「いた」ことになるのでしょうか。
いやいや。福商はそんな学校ではありません。もちろん。
 
<部活動紹介>
私たち演劇部は今年、部員が4人しかいませんでした。マズイ。これではとても演劇の上演は出来ません。だってみなさんもご存じの通り、演劇をするには少なくとも、役者をする人・音響装置を操作する人・照明機器を操作する人・大道具を作る人・大道具を作る道具を作る人・大道具を作る道具を作るための材料になる金属を精錬する人・大道具を作る道具を作るための材料になる金属を精錬する人のところに鉱石を運ぶ人・大道具を作る道具を作るための材料になる金属を精錬する人のところに鉱石を運ぶ人に渡すために鉱石を山から掘り出す人・大道具を作る道具を作るための材料になる金属を精錬する人のところに鉱石を運ぶ人に渡すために鉱石を山から掘り出す人の汗を拭くためにタオルを用意するかわいい後輩・大道具を作る道具を作るための材料になる金属を精錬する人のところに鉱石を運ぶ人に渡すために鉱石を山から掘り出す人の汗を拭くためにタオルを用意するかわいい後輩の三時のおやつのプリンを冷やしておく食堂のオバチャン、などが必要になります。どうしよう。プリンは我慢してもらおうかしら。とするとオバチャンはリストラね。労働組合が黙ってないでしょうね。うーん。その時、部長の頭に素晴らしいアイディアがひらめきました。そうだ、うちの押し入れにタヌキみたいなブタみたいなネコみたいな変なロボットが居候していたっけ。あいつに頼んだら、部員をクローン増殖させるとかなんとか、上手い方法を教えてくれるんじゃないかしら。助けてー、○○○○ん!
あぶないあぶない。伏せ字にすればいいってもんじゃねーだろ。
 
<いいわけ>
ここまで読んで、わけがわからんと思ったあなた。そうです、それでいいのです。世の中はわけのわからないものなのです。理不尽なものなのです。そして、そこに意味を与えるのが人間というものです。それが人間のすばらしさなのです。人間賛歌なのです。メメタァ。この世界に秩序を作り上げるのは、他ならぬあなたなのです。あなた。小犬の横には、あなた。あなたがいてほしい。それが私の夢だったのよ。いとしいあなたは、今どこに〜♪
おい、大丈夫かこれ書いてるヤツ。