(石川県)鶴来高校
「らぶはーつ」 北沢佳菜 作
《生徒講評委員会》
幸せ。その幸せの中の恋という部分。彼といることができたら幸せ。その人が幸せならば幸せ。両想いなら幸せ。片思いでも幸せ。幸せという大きな概念にはたくさんの種類がある。でも、みんな違って、みんないい。そんなことをまっすぐ、私達に臆することなく、伝えてくれた。恋したい、と頬が緩む、そんな劇だった。
講評委員で議論があったのは、ケーキとおせんべいのことである。修が最初に言った「ケーキの後におせんべいを食べたくなる奴もいるぞ」というセリフは心変わりするやつもいるぞということを示唆しているのではないのだろうか。それを受けて、ゆきのは奏也の言った「ケーキの後はケーキがいい」というセリフに喜んだ。しかし、奏也はケーキ好きであるだけでモンブランだけが一番という意味ではなかった。ケーキは何を意味していて、おせんべいは何を意味していたのれ気になるところである。
そしてやはり、高校生の恋愛ということで、共感できることがたくさんあった。聞かないほうが幸せだった、とか、恋に恋する様子など、自分に通じるところが少なからずあったと思う。しかし、これは共感できる人間が限定されているのでは、という意見もでた。男の子は? 女の子は? 恋をしたことがない子は? 恋愛とは曖昧で大きなテーマであるので注意が必要であると感じた。
また、改善点として、衣装や、セットのことがあげられる。男の子四人の恰好がどれも似たようなものだったので、個性が感じられないという意見がでた。特に恵と修はTシャツの色まで同じだったので、遠くから見ていた人にとっては分かりにくかったのではないだろうか。セットとしては、奥にあった平台の場所設定が分かりにくかったという意見がでた。奏也が電話をして通っていったり、修が飛び降りたりしている。あそこは一体どこだったのか、もう少し説明が欲しかった。テンポもよく、さくさくとお客さんを惹きつけ、高校生らしい高校生をみせてくれた良い舞台だっただけにもったいないと感じた。
恵のように、恋をすること、傷つくことを恐れているひとはたくさんいることだろう。でも恵は告白する勇気を私たちに見せつけてくれた。綿川も、好きな人を心の奥から思う優しさを教えてくれた。恋っていいな、素敵だなと改めて感じさせてくれるさわやかな劇だった。また、人それぞれの幸せの形があるからこそ、大きな幸せが生まれるのではないかと考えさせてくれる作品でもあったと思う。
三次元に真のラブ、永遠のラブはあるのか。そんな答えのない誰もが悩む大きな問題をコミカルにポジティブに伝えてくれた。二次元にはない、三次元のラブを謳歌していこうではないか!
石川県立鶴来高校の皆さん、ありがとうございました。
《専門家・顧問審査員会》
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